Step0:研究の流れの例

 

まず最初に、一般的な研究者が自分の成果を発表する場の一つである学術論文における構成を一例として示します。(ここでは例として、実験系の書き方を示します)この流れを参考にして、「趣味としての研究」の進め方も順を追って紹介していこうと思います。

 

1.緒論

まず初めに、この章でその研究の背景を述べます。この分野では今までどんな研究がされてきて今どんな問題があるかを明記します。その上で、自分はどんなアプローチでその問題に取り組むか、そしてそれがどれだけオリジナリティがあるかを書きます。これによって研究の独自性や新規性をアピールします。

2.実験原理

本論文における課題を解決するための実験の原理の説明をします。どういう理屈でその課題が解決出来るのか、実験の原理を分かりやすく説明します。ちなみに、ある課題を解決する為の実験の手法は一つとは限りません。色々な方法で解決できるわけですが、この論文ではどういう理由でその手法を選んだのかも理由を付けて書きます。ただし、「実験手法」自体は必ずしも完全に新しいものである必要はありません。行う実験自体は今までに使われている古典的な手法だとしても、研究対象が新しかったり、実験と解析の組み合わせにより新しい知見が得られるものであれば、既存の実験手法を使う事自体は問題ではありません。ただし論文としては、既存の実験手法であったとしても、その実験の原理は記載する必要がありこの章でその説明を行います。これにより、実験結果に対する信頼性が確保されます。

3.実験手順

例え既存の実験手法と同じものであったとしても、詳細な実験手順や実験環境や実験装置自体は各研究固有のものです。詳細に、どのような手順で実験を行いどのようにデータを取得したのかを記述することにより、そのデータの信頼性をアピールすることができます。(2.と3.は一緒に書くこともあります。というかその方が多いかもしれません…)

4.実験結果

実際に行われた実験の結果を示します。大半の論文には結果のグラフや表などがあり、それらが提示されます。そしてまずはそのグラフや表の見方を説明します。ここがとても重要です。論文で一番大事なのは内容を正確に他者に伝える事です。その為には、得られた結果のグラフや表の見方からまず丁寧に説明する必要があります。その上で、実際の結果についてまずは客観的に事実を述べます。ここでは主観的な考えは載せません。まずはあるがままの事実を丁寧に述べます。

5.考察

4.で得られた実験結果に対して、ここで考察を行います。例えば過去の他の人達がやってきた結果と比べてどうである、とか、そこからどう改善したか、など。あるいは、今までに無かった結果が得られたのであれば、その結果に対して何かしらの意味を持たせる事も必要かもしれません。この章ではただ結果としての事実を述べるだけではなく、今回得られた結果が本研究で解決しようとしている課題に対してどういう答えとなっているか、理論的に考察し、自身の目的をどれだけ達成できたか、評価を行います。ここでの考察が、この論文における一番重要なメッセージとなります。(この考察の章も、実験結果の章とまとめて書く場合もあります)

6.結論

最後におさらいをします。もう一度改めて、この実験の目的と実験手法を簡単に述べ、実験結果も肝となる重要な部分だけ抜粋して書き、考察の重要な点ももう一度書きます。つまり、論文全体の「おさらい」ですね。(このおさらいの便利な点としては、研究者は論文を沢山読む必要があるのですが、全ての論文を全部読んでいたら時間が膨大に掛かってしまうので、緒論と結論と、あと結果のグラフだけ見るだけでも大体の内容が分かるので、沢山の論文を調査する時にはそういう斜め読み的な見方もします。そして気になった論文だけ後でじっくり読みます。あと本当は「概要」というのもあって、もっと全体をコンパクトにまとめたものが緒論の前の一番最初に来るのですが、ここでは論文の話しがメインではないので、その話しは割愛します。)とにかく、この章だけ見れば、この論文の著者が何の目的で何をして、どんな結果が得たのかが簡単に分かるように、上手くまとめを書きます。

 

 

かなり雑ですが、以上が実験系の学術論文の書き方の一例になります。この流れを基に、「趣味としての研究」の進め方を順を追って観て行きたいと思います。

 

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