2粒目:科学の定義

 

考える種2粒目は、科学についてです。このサイトでは様々な科学分野における研究を進めて行こうと思っているので、まずはその「科学」自身の定義を考えていきたいと思います。ちなみにこの話しは、僕が所属するIEEEという団体の若手メンバーでたまに開催する小中高校生向けの出張授業でいつも話すネタなので、内輪の方にはまたそれか、と思われるかもしれませんが(笑)、ご了承下さい。

さて、早速ですが、僕の中の科学の定義は、

 

科学とは人の生き様である

 

です。科学の定義自体は昔からすでに多くの人が色々考えていて、広義の意味から狭義の意味まで様々な解釈があります。ネット上でも検索すると簡単に見られると思いますので良ければ調べてみて下さい。

その他色々調べてみても、科学は明確に決められる一つの定義というものは今のところないように感じています。

そこで、今回は僕自身が考える科学の定義の話しになるのですが、上で書いたように、「科学とは人の生き様である」と思っています。

例えば、「電気」や「飛行機」や「電話」などは紛れもなく優れた科学技術の賜物だと思いますし、多分誰もそれを否定しないと思います。電気は、真っ暗な夜に明かりを灯して人々の生活の質を向上させました。飛行機は、遠い国との距離をぐっと縮めて、人種を越えた交流を容易にしました。さらに電話を使えば、地球の反対側にいる恋人ともリアルタイムに心を通わせる事が出来ます。ぜんぶ、素敵な技術で人の暮らしに喜びを与えてくれるものですよね…。そして、これらの中で何が凄いかと言うと…、これらの持つ「技術」自体も勿論凄いのですが、それ以上に僕が凄いと感じるところは、これらの物は、恐らく世界中の殆ど全ての人が「知っている」という事実です。実は物を作るだけなら動物でも出来たりします。意図的に火を使う動物もいるみたいですよ。でも、自分達が作ったものを周りに伝えて広めるという行為は、人が持つ何よりも優れた能力だと思うのです。例えば、ある猫が、ネズミを必ず一発で仕留められる必殺ネコパンチを編み出したとします。その猫がその技を周りに伝えて、気が付けば、世界中で必殺ネコパンチが繰り出されるようになる、とは、いかないですよね…(多分)。しかし人は、自ら作り出したものを周りに伝え、共有し、それを喜び合います。その喜びの結果として、人類という種全体が進化を遂げてきたのだと思うのです。

このような「共有」という能力が人類の大きな才能なのだと思います。それでは、上述した電気や飛行機や電話が全世界に拡がった過程において、何が重要であったかを考えてみます。雑な手描きのイラストですが、下記を見て下さい。

まず初めに、機能として使用するための物理現象を発見するところから始まりますね。これが最初の段階(理学的な能力)。次に、その物理現象を上手く製品に組み込む技術が必要になります(理学&工学的な能力)。そしてそれを大量製品として開発します(これも工学的な能力)。さらに、製品として機能の良さだけではなく、見た目やデザイン、そして使いやすさも良くなければ人は買ってくれませんね(芸術的能力)。さらに、適正な価格を設定し、販売路線を拡張して、製品を作っている組織自体を上手く回すようにしなければなりませんね(経営能力)。そして、出来上がったものを周りに上手く広める事が必要になりますね(マーケティング能力)。さらに、周りに広めていく全ての過程で欠かせない重要な技術もありますね(コミュニケーション能力)。
以上のもの以外にも書ききれない程の様々な技術を駆使して、世界に拡がり、そして廃れることなく使い続けられるものが出来上がるのです。どんなに優れた技術や製品であっても、共有が進まなければそのうちに廃れてしまいます。そう考えると、現在誰もが認める重要な「科学」を成し遂げ、体現させてきた裏側には、人が持つ全ての技術の集結があったはずなのです。

人が持つ全ての技術の集大成、それはまさに「人の生き様」だと思うのです。

このように、僕が考える「科学」は、とても広義な定義になっております。理系や文系だけでなく芸術系も含め、人が持つ全ての知識と技術が集結した時、新しい科学が生まれるのだと思うのです。

実は、これを目指して取り組んだ活動を過去にしまして…(ちょっと宣伝になってしまいますが ^^;)。僕が所属するIEEEという団体の中のTYRW(Tokyo Young Researchers Workshop)という学生団体があるのですが、毎年、学生による学生の為のワークショップを開いております。このワークショップの第7回の時に実行委員長をさせてもらい、まさに今回のようなテーマで、全ての分野を一つの場所に集結させたポスターセッションを開催いたしました。理系だけでなく、文系の発表もあり、さらには芸術系として絵画も一緒に展示し、発表中にはクラシック音楽をバックミュージックとして流し、休憩時間にはギターの生演奏も入れ、懇親会ではお酒も科学だという事でバーテンダーを呼んで本格的なカクテルの提供も行い、まさに人が持つありとあらゆる技術が同じ日に同じ場所に集結し、様々な意見を交換する素敵な会が開かれました。こちらにそのサイトがありますので、もしも良ければ遊びに行っていただけますと幸いです(https://young-researchers.net/tyrw7th/index)。なお、現在はTYRWという名前からTOWERSという名前になって、引き続き活発に活動が行われておりますので(https://young-researchers.net/)、ご興味のある方はぜひぜひチェックしてみて下さい!!学生ながら、とても素晴らしい活動をしております!ぜひ応援よろしくお願い致します!!

 

という事で、ちょっと脱線してしまいましたが、今回は科学の定義について考察してみました。まだこれ以外にも様々な考え方があると思います。何度も言っていますが、正解や間違いはありません。自分の中でしっくりくる定義が出来上がると、それに対する態度が変わってきます。自分の生活の中に「科学」という概念が浸透してくると思います。ぜひ、皆様も自分なりの科学の定義を持って、日々を過ごすようになって頂ければと思います。また、良ければコメントの方もぜひ宜しくお願い致します!!

 

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「2粒目:科学の定義」への2件のフィードバック

  1. 人類の三大発明の一つが「活版印刷」である、と言われてるようです。時間、空間を隔てた多くの人への伝達手段の基礎技術として、印刷の功績は大きかったと思います。
    どんな知識、技術も何らかの手段を持って共有しないことには社会的に意味をなさないですものね。

    1. Strad様、
      コメントありがとうございます!!
      「印刷」って、確かに偉大な発明ですよね!仰るように、時空を隔てて情報を伝えますね。印刷物が残る事によって「今」だけじゃなく、過去と未来が繋がるし、遠く離れた様々な人に情報を効率的に伝えられますね。科学技術だって、印刷のお蔭で過去の偉人達の研究成果が参考書として残って、それを我々は勉強してその上で新たな発見に繋がっていくわけですし、「印刷」が発明されなかったら今と全く違う世界になっているでしょうね。
      そう考えたら、自分の生きた証しもしっかりと形として残して共有することが大事なんだろうな、と思えました。その一環として、このホームページももっと頑張ろうと、前向きな気持ちになれました!ありがとうございました!

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